教材作成と著作物の利用確認の業務手順書テンプレート(学校・研修・塾)
教材に他人の文章・図・写真などを使うとき、そのまま使えるか、許諾が必要かを判断し、出典を書いて記録するまでの流れです。手順書にすると、営利の研修や塾で学校向けの例外を当てはめてしまうなどの著作権の誤りを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 教材に使う著作物の扱いを、教材ごとに同じ判断の順番で確かめ、記録できるようにします。
- 範囲
- 教材の企画から、使う著作物の確認、許諾の取得、教材の公開・配布、記録の保管までです。
- 始まるきっかけ
- 新しい教材を作るとき、既存の教材を改訂するとき、オンラインで配信するとき
- 頻度・量の目安
- 教材ごと・使う著作物が1教材あたり5〜30件
- 使う書類・システム
- 教材の原稿、使う著作物の一覧(出典・使い方)、許諾の記録、利用規約(素材サイト・出版社)
担当と役割
教材作成者(教員・講師)
使う著作物の洗い出し、出典の記載
教材の管理担当
判断の確認、許諾の申請、記録
管理職・運営責任者
判断に迷う場合の決定
手順(10ステップ)
- 洗い出し教材作成者・目安 30分
1. 教材に使う著作物を一覧にする
文章、図表、写真、イラスト、動画、楽曲ごとに、出典と使い方(そのまま・一部・改変)を書きます。
- 確かめること
- 自分で作ったもの以外はすべて一覧に入れる。
- できあがるもの
- 著作物の一覧
- 判断教材の管理担当・目安 5分
2. 自社・自校の立場を確かめる
非営利の学校の授業か、営利の研修会社・塾の講座かを確かめます。
- 確かめること
- 営利目的の事業者は、学校の授業での複製の例外(著作権法35条)の対象外。
- できあがるもの
- 立場の確認
- 判断教材の管理担当・目安 10分
3. 学校の授業での複製に当たるか確かめる
非営利の学校で、授業の過程で教員や児童生徒が使う範囲か、著作権者の利益を不当に害さないかを確かめます。
- 確かめること
- 問題集やドリルなど、児童生徒が1人1冊買うことを想定したものの複製は認められない。
- できあがるもの
- 35条の判断
- 判断教材の管理担当・目安 5分
4. 公衆送信を行う場合の補償金を確かめる
オンラインでの配信など授業目的の公衆送信をする場合、設置者が補償金を支払う手続きをしているか確かめます。
- 確かめること
- 学校の設置者が授業目的公衆送信補償金の手続きをしている。
- できあがるもの
- 補償金の確認
- 判断教材の管理担当・目安 10分
5. 引用の要件を満たすか確かめる
引用する必然性、自分の文章が主で引用が従、引用部分がはっきり区別されている、出典の明示の4点を確かめます。
- 確かめること
- 図や写真を飾りとして使う場合は引用に当たらないことが多い。
- できあがるもの
- 引用の判断
- 許諾教材の管理担当・目安 1件30分
6. 許諾が必要なものは申請する
出版社・著作権者・管理団体に、使い方、部数、期間、配布の範囲を示して申請します。
- 確かめること
- 素材サイトの素材は、利用規約で教材・有料講座での利用が認められているか確かめる。
- できあがるもの
- 許諾の申請
- 記載教材作成者・目安 15分
7. 出典を教材に書く
著作者名、題名、出版社・掲載先、発行年などを書きます。
- 確かめること
- 許諾の条件で表示の文言が決まっている場合は、その文言を使う。
- できあがるもの
- 出典を記載した教材
- 確認管理職・運営責任者・目安 15分
8. 判断に迷うものを決める
改変の範囲、配信の範囲などで迷うものを決めます。
- 確かめること
- 判断の理由を記録する。
- できあがるもの
- 判断の記録
9. 著作物の利用の記録を残す
教材名、使った著作物、判断(35条・引用・許諾・自作)、許諾の期限を記録します。
- 確かめること
- 許諾の期限が切れる前に更新の要否を確かめる。
- できあがるもの
- 利用の記録
- 改訂教材の管理担当・目安 15分
10. 改訂・配信の範囲が変わるときに確かめ直す
紙から配信へ、校内から外部へなど、使い方が変わるときは判断をやり直します。
- 確かめること
- 許諾の範囲を超えていない。
- できあがるもの
- 再確認の記録
締めのチェックリスト
- 教材に使う他人の著作物をすべて一覧にした
- 営利の事業者か非営利の学校かを確かめた
- 35条の範囲を超える複製をしていない
- 授業目的の公衆送信の補償金の手続きを確かめた
- 引用の4つの要件を確かめた
- 素材サイトの利用規約を確かめた
- 許諾の範囲(部数・期間・配布先)を守っている
- 出典を教材に書いた
- 利用の記録と許諾の期限を残した
- 使い方が変わるときに確かめ直した
よくあるミスと防ぎ方
営利の研修や塾で35条を当てはめる
学校の授業での複製の例外は、営利を目的としない教育機関が対象です。研修会社や塾の教材では、引用の要件を満たすか、許諾を得る必要があります。
ドリルや問題集をコピーして配る
1人1冊買うことが想定された教材の複製は、学校の授業でも認められません。購入をお願いするか、自作の問題にします。
素材サイトの規約を読まない
無料の素材でも、有料講座や教材への利用を禁じている場合があります。利用規約を確かめ、記録に残します。
測っておきたい指標
- 許諾の確認が終わっていない教材の件数
- 利用の記録の作成率
- 許諾の期限切れの件数
関係する法令・規格
著作権法
学校その他の教育機関における複製等(35条)、授業目的公衆送信補償金、引用(32条)、著作者人格権(改変)に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(教育・研修・10業務)
- 「教材作成と著作物の利用確認」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち1つは、自動化の候補です
よくある質問
- 研修会社の教材に新聞記事を使ってもよいですか。
- 営利の研修では学校向けの例外は使えません。引用の要件を満たす範囲で使うか、新聞社などに許諾を申請します。
- 授業の録画を配信してもよいですか。
- 非営利の学校の授業として、設置者が補償金の手続きをしていれば、一定の範囲で著作物を含めて配信できます。営利の講座では許諾が必要です。
- 出典を書けば自由に使えますか。
- 出典の明示は引用の要件の1つにすぎません。引用の必然性や主従の関係など、他の要件も満たす必要があります。