情報公開請求の対応の業務手順書テンプレート(自治体)
住民などから公文書の開示請求を受け、対象の文書を特定し、不開示情報を判断して、期限内に開示・不開示を決定し、開示を行うまでの流れです。手順書にすると、決定期限の超過や、個人情報などの不開示部分の見落としを防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 情報公開条例どおりに、期限と判断の基準を守って開示請求に対応できるようにします。
- 範囲
- 開示請求の受付から、開示の決定、開示の実施、審査請求への対応の準備までです。
- 始まるきっかけ
- 情報公開の窓口に公文書の開示請求書が届いたとき
- 頻度・量の目安
- 随時・全庁で月5〜100件
- 使う書類・システム
- 公文書開示請求書、情報公開条例・審査基準、文書の管理簿(ファイルの一覧)、開示請求の受付台帳
担当と役割
情報公開の窓口担当
請求の受付、期限の管理、開示の実施
文書を持つ課の職員
対象文書の特定、不開示情報の判断、決定の起案
文書を持つ課の課長
開示・不開示の決定
手順(10ステップ)
1. 開示請求書を受け付ける
請求者、請求する文書の内容、開示の方法(閲覧・写しの交付)を確かめ、受付日を記録します。
- 確かめること
- 請求の内容があいまいなら、請求者に聞いて文書を特定できる形にする。
- できあがるもの
- 受付台帳の1行
2. 決定の期限を入れる
条例で定める決定の期限を、受付台帳に入れます。
- 確かめること
- 補正を求めた期間の扱いを条例どおりにする。
- できあがるもの
- 決定期限
- 特定文書を持つ課の職員・目安 1〜3時間
3. 対象の文書を特定する
文書の管理簿で、請求に当たる文書を探し、一覧にします。
- 確かめること
- 紙だけでなく電子のファイル・メールも対象になり得る。
- できあがるもの
- 対象文書の一覧
- 判断文書を持つ課の職員・目安 案件による
4. 不開示情報に当たる部分を判断する
個人に関する情報、法人などの正当な利益を害する情報、審議中の情報など、条例の不開示情報に当たるかを1か所ずつ判断します。
- 確かめること
- 判断の理由を、条例の該当する号とともに記録する。
- できあがるもの
- 不開示の判断の記録
- 照会文書を持つ課の職員・目安 案件による
5. 第三者の情報がある場合は意見を聞く
法人などの情報が含まれる場合、その第三者に開示についての意見書を出す機会を与えます。
- 確かめること
- 第三者が反対しているのに開示する場合は、開示の実施まで決めた期間をおく。
- できあがるもの
- 意見照会の記録
- 延長文書を持つ課の課長・目安 15分
6. 期限内に決定できない場合は延長を通知する
延長の理由と新しい期限を、請求者に書面で通知します。
- 確かめること
- 延長の通知は、元の期限内に出す。
- できあがるもの
- 延長の通知
- 決定文書を持つ課の課長・目安 30分
7. 開示・部分開示・不開示を決定する
判断の記録を確かめて決裁します。
- 確かめること
- 不開示・部分開示の場合は、理由を具体的に書き、審査請求ができることを教示する。
- できあがるもの
- 開示決定通知書
8. 部分開示の文書を準備する
不開示部分を黒塗りしたうえで、写しを作ります。
- 確かめること
- 黒塗りの漏れ・透けがないか、別の職員が確かめる。電子の場合は黒塗りの下の文字が残っていない。
- できあがるもの
- 開示用の文書
- 開示情報公開の窓口担当・目安 30分
9. 開示を行う
閲覧の立会い、写しの交付、費用の受け取りを行います。
- 確かめること
- 交付した文書の範囲を記録する。
- できあがるもの
- 開示の記録
10. 受付台帳に結果を入れる
決定日、決定の内容、開示日を入れ、年間の運用状況の集計に使います。
- 確かめること
- 期限内に決定したかを記録する。
- できあがるもの
- 更新済みの受付台帳
締めのチェックリスト
- 請求の内容を文書を特定できる形にした
- 決定期限を台帳に入れた
- 電子のファイル・メールも探した
- 不開示の理由を条例の号とともに記録した
- 第三者に意見書を出す機会を与えた
- 延長の通知を元の期限内に出した
- 不開示・部分開示の理由と教示を書いた
- 黒塗りの漏れを別の職員が確かめた
- 電子の黒塗りの下に文字が残っていない
- 台帳に決定日と開示日を入れた
よくあるミスと防ぎ方
黒塗りの漏れ
部分開示で個人の名前が残ったまま交付する事故があります。黒塗りの後に別の職員が全ページを確かめます。
電子文書の黒塗りが外せる
PDF の上に黒い図形を重ねただけでは、下の文字を読み取れることがあります。墨消しの機能を使うか、印刷してスキャンし直します。
決定期限を過ぎる
対象文書が多い場合など、期限内に決められないことがあります。延長の通知を元の期限内に出します。
測っておきたい指標
- 決定期限内の決定率
- 受付から決定までの平均日数
- 黒塗りの漏れなど誤開示の件数(0件が基準)
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
情報公開条例(各自治体)
開示請求の手続き、不開示情報、決定の期限と延長、第三者への意見照会、開示の実施を定めています。
個人情報保護法
自分の個人情報の開示請求は、2023年4月から地方公共団体にも適用される同法の手続きで扱います。情報公開請求とは別の手続きです。
行政不服審査法
開示決定に対する審査請求と教示に関わります。
公文書等の管理に関する法律
地方公共団体は、法律の趣旨にのっとり文書の適正な管理に努めることとされています(第34条)。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(自治体・10業務)
- 「情報公開請求の対応」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- 自分の個人情報を見たい場合も情報公開請求ですか。
- 自分の個人情報の開示請求は、個人情報保護法の手続きで行います。情報公開条例の請求とは窓口や様式が分かれていることが多いです。
- 請求された文書が見つからない場合は。
- 文書を作っていない、または保存期間が過ぎて廃棄した場合は、文書が存在しないことを理由に不開示の決定をします。
- 黒塗りを効率よく行う方法は。
- 個人の名前や住所など、決まった種類の情報を探して印をつける作業は、文字の読み取りと検索の仕組みで補えます。最終の判断と確認は職員が行います。