公文書の収受・起案・保存の業務手順書テンプレート(自治体)
外から届いた文書を収受して登録し、起案・決裁・施行を経て、保存期間を決めてファイルに綴り、期間が過ぎたら廃棄するまでの流れです。手順書にすると、文書の紛失や決裁区分の誤り、保存期間の誤った廃棄を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 文書の流れを文書管理規程どおりにそろえ、どの文書がどこにあるかをいつでも探せるようにします。
- 範囲
- 文書の収受から、起案・決裁・施行、保存、移管・廃棄までです。
- 始まるきっかけ
- 郵便・メール・電子申請で文書が届いたとき、または事務の処理のために起案するとき
- 頻度・量の目安
- 毎日・1課あたり1日10〜50件
- 使う書類・システム
- 届いた文書(郵便・メール・電子申請)、文書管理システム、文書管理規程・決裁区分表(専決規程)、文書分類表・保存期間表
担当と役割
文書の取扱担当(庶務担当)
収受、登録、施行、ファイルの管理
起案者(担当職員)
起案、関係課との合議
決裁者(係長・課長・部長など)
決裁区分に応じた決裁
手順(11ステップ)
1. 届いた文書を収受する
収受日を記録し、文書管理システムに登録して文書番号を振ります。
- 確かめること
- 親展・書留などの扱いを確かめ、開封の権限を守る。
- できあがるもの
- 収受の記録
2. 紙の文書を電子化して登録する
紙の文書をスキャンし、件名・差出人・日付を登録します。
- 確かめること
- 件名と差出人を、文書の記載と照合する。
- できあがるもの
- 電子化した文書
3. 担当者に文書を配る
担当係・担当者を決めて配付し、処理の期限を伝えます。
- 確かめること
- 期限のある文書(照会・回答依頼)は、期限を登録する。
- できあがるもの
- 配付の記録
- 起案起案者・目安 30分
4. 処理の内容を起案する
件名、起案の理由、処理の案、関係法令、添付資料を書きます。
- 確かめること
- 件名だけで内容がわかるようにする。
- できあがるもの
- 起案文書
- 区分起案者・目安 5分
5. 決裁区分を確かめる
決裁区分表(専決規程)で、誰の決裁が必要かを確かめます。
- 確かめること
- 金額や内容によって決裁者が変わる項目に注意する。
- できあがるもの
- 決裁ルート
- 合議起案者・目安 案件による
6. 関係課に合議する
予算・人事・法令など関係する課に回します。
- 確かめること
- 合議先の意見と修正を記録する。
- できあがるもの
- 合議の記録
- 決裁決裁者(係長・課長・部長など)・目安 10分
7. 決裁する
起案の内容と根拠を確かめて決裁します。
- 確かめること
- 決裁の日付が施行日より前である。
- できあがるもの
- 決裁済みの文書
8. 決裁された文書を施行する
文書番号、日付、発信者名を入れて、相手に発送します。
- 確かめること
- 決裁された内容と発送する文書が一致している。
- できあがるもの
- 施行の記録
9. 保存期間を決めてファイルに綴る
文書分類表で分類と保存期間を決め、ファイル(簿冊・電子フォルダ)に綴ります。
- 確かめること
- 保存期間の起算日(年度の翌年度の4月1日など)を規程どおりにする。
- できあがるもの
- ファイル
10. ファイル管理簿を更新する
ファイル名、分類、保存期間、保存場所を管理簿に入れます。
- 確かめること
- 管理簿の内容と、実際の保存場所が一致している。
- できあがるもの
- ファイル管理簿
- 廃棄文書の取扱担当・目安 年1回・1日
11. 保存期間が過ぎたファイルを廃棄または移管する
保存期間が満了したファイルの一覧を作り、歴史的に重要なものは公文書館などへ移管し、それ以外を廃棄します。
- 確かめること
- 開示請求・訴訟の対象となっている文書は、期間が過ぎても廃棄しない。廃棄の記録を残す。
- できあがるもの
- 廃棄・移管の記録
締めのチェックリスト
- 収受日と文書番号を登録した
- 紙の文書の件名・差出人を照合した
- 期限のある文書の期限を登録した
- 件名だけで内容がわかる
- 決裁区分表で決裁者を確かめた
- 合議の意見と修正を記録した
- 決裁日が施行日より前である
- 分類と保存期間を決めて綴った
- ファイル管理簿と保存場所が一致している
- 開示請求・訴訟の対象を廃棄していない
よくあるミスと防ぎ方
決裁区分を誤る
金額などで決裁者が変わる文書を、下位の決裁で済ませてしまうことがあります。起案のたびに決裁区分表で確かめます。
件名があいまい
「〇〇について」だけでは、後から探せません。誰に何をするかがわかる件名にします。
期間が過ぎたからと開示請求中の文書を廃棄する
開示請求や訴訟の対象の文書を廃棄すると大きな問題になります。廃棄の一覧を作るときに確かめます。
測っておきたい指標
- 期限のある文書の期限内処理率
- 決裁にかかる平均日数
- ファイル管理簿と保存場所の不一致件数
関係する法令・規格
公文書等の管理に関する法律
地方公共団体が、法律の趣旨にのっとり保有する文書の適正な管理に関する施策を策定し、実施するよう努めることとされています(第34条)。
文書管理規程・公文書管理条例(各自治体)
収受、起案、決裁、施行、分類、保存期間、移管・廃棄の手続きを定めています。
情報公開条例(各自治体)
保存している公文書は開示請求の対象になります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(自治体・10業務)
- 「公文書の収受・起案・保存」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち6つは、自動化の候補です
よくある質問
- 電子決裁と紙の決裁で手順は変わりますか。
- 流れは同じですが、電子決裁では決裁の記録と保存がシステムに残ります。紙で届いた文書は電子化して登録すると、探しやすくなります。
- 保存期間はどう決めますか。
- 文書分類表・保存期間表で、文書の種類ごとに決まっています。迷う場合は、文書管理の担当課に確かめます。
- 紙の文書の登録を早くできますか。
- スキャンした文書から件名・差出人・日付を AI-OCR で読み取ると、登録の手間を減らせます。読み取った内容は文書と照合します。