外注先への発注と検収の業務手順書テンプレート(受託開発・情報システム)
開発の一部を外注先(開発会社・フリーランス)に発注し、成果物を検収して支払うまでの流れです。手順書にすると、取引条件の明示漏れや支払の遅れ、指揮命令による偽装請負を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- 取適法・フリーランス法の対象となる取引でも、発注から支払までを法令どおりに進められるようにします。
- 範囲
- 外注先の選定と発注から、検収、支払、取引記録の保存までです。
- 始まるきっかけ
- 開発の一部を外部に委託することが決まったとき
- 頻度・量の目安
- 随時・月5〜30件
- 使う書類・システム
- 見積書、発注書の書式(明示事項つき)、外注先の情報(資本金・従業員数・個人か法人か)、外注管理台帳
担当と役割
プロジェクトマネージャー(PM)
発注内容の決定、検収
購買・管理担当
法令の適用の判定、発注書の発行、取引記録の作成
経理担当
支払期日の管理と支払
手順(11ステップ)
- 判定購買・管理担当・目安 10分
1. 取適法・フリーランス法の対象か判定する
取引の内容(プログラムの作成は情報成果物作成委託)、自社と外注先の資本金・従業員数、外注先が従業員を使わない個人かを確かめます。
- 確かめること
- 判定結果と根拠を外注管理台帳に入れる。
- できあがるもの
- 適用の判定
- 見積PM・目安 1〜5日
2. 外注先から見積をもらい、内容を決める
作業の範囲、成果物、納期、検収の方法を決め、見積をもらいます。
- 確かめること
- 代金は外注先と協議して決める。一方的に低い金額を押しつけない。
- できあがるもの
- 見積書
3. 発注書を作り、直ちに交付する
発注日、給付の内容、受領の期日と場所、検査の完了期日、代金の額、支払期日、支払方法などを書きます。
- 確かめること
- 取適法の対象なら明示事項をすべて書く。メールなど電磁的方法で出す場合は、法令の方法に沿う。
- できあがるもの
- 発注書
- 体制PM・目安 30分
4. 作業の指示の方法を確かめる
請負・準委任の契約では、外注先の作業者に自社の社員が直接指示を出さず、外注先の責任者を通じて依頼します。
- 確かめること
- 外注先の作業者を自社のチームに組み込んで勤怠を管理していないか確かめる。
- できあがるもの
- 体制図
- 進捗PM・目安 週1回・30分
5. 進捗を外注先の責任者と確かめる
週次の報告で進み具合と課題を確かめます。
- 確かめること
- 仕様を変える場合は、変更の内容と代金・納期の変更を書面で合意する。
- できあがるもの
- 進捗の記録
6. 成果物を受け取り、受領日を記録する
成果物を受け取った日を外注管理台帳に入れます。
- 確かめること
- 支払期日は受領日から数えて60日以内の、できるだけ短い期間になっているか確かめる。
- できあがるもの
- 受領の記録
- 検収PM・目安 1〜3日
7. 成果物を検査する
発注書で決めた検査の方法と期日で、成果物を確かめます。
- 確かめること
- 発注時に決めていない基準で不合格にしない。
- できあがるもの
- 検収の記録
- 検収PM・目安 30分
8. 不合格の場合はやり直しを依頼する
不合格の理由を、発注書の内容と照らして具体的に伝えます。
- 確かめること
- 外注先の責任でない理由によるやり直しは、費用を負担して依頼する。
- できあがるもの
- やり直し依頼の記録
9. 支払期日までに支払う
外注先からの請求書を受け取り、発注書の代金と照合して支払います。
- 確かめること
- 検収が遅れても、受領日から60日以内の支払期日は変わらない。手形での支払はしない。
- できあがるもの
- 支払の記録
10. 取引記録を作成・保存する
給付の内容、受領日、検査の結果、代金の額と支払日などを記録します。
- 確かめること
- 取適法の対象取引は、記録を2年間保存する。
- できあがるもの
- 取引記録
- 評価PM・目安 15分
11. 外注先を評価する
品質、納期、コミュニケーションを評価し、次の発注の参考にします。
- 確かめること
- 評価の結果を外注管理台帳に入れる。
- できあがるもの
- 評価の記録
締めのチェックリスト
- 取適法・フリーランス法の対象か判定した
- 代金を外注先と協議して決めた
- 発注書に明示事項をすべて書き、直ちに交付した
- 外注先の作業者に直接指示していない
- 仕様変更は代金・納期を含めて書面で合意した
- 成果物の受領日を記録した
- 支払期日が受領日から60日以内である
- 発注時に決めた基準で検収した
- 手形での支払をしていない
- 取引記録を2年間保存する
よくあるミスと防ぎ方
検収の日から支払期日を数える
取適法の対象取引では、支払期日は成果物を受け取った日から60日以内です。検収が遅れても期日は延びません。受領日を台帳に入れて管理します。
外注先の作業者に直接指示する
請負・準委任なのに自社の社員が作業者に指示や勤怠管理をすると、偽装請負になるおそれがあります。外注先の責任者を通じて依頼します。
発注書を出さずに口頭で依頼する
取適法・フリーランス法では、取引条件をすぐに書面などで明示する必要があります。急ぎの場合もメールで明示事項を送ります。
測っておきたい指標
- 支払期日の遵守率(100%が基準)
- 発注書の明示事項の不備件数
- 外注先の納期遵守率
この業務で残す書類の保存期間
関係する法令・規格
中小受託取引適正化法(取適法)
2026年1月施行(旧下請法)。発注内容等の明示(4条)、取引記録の作成と保存(7条)、受領日から60日以内の支払、手形払いの禁止、代金の減額・不当なやり直しの禁止に関わります。
フリーランス・事業者間取引適正化等法
従業員を使わない個人の外注先への取引条件の明示、60日以内の支払などに関わります。
労働者派遣法・職業安定法
請負・準委任の形で実際には指揮命令を行う偽装請負の防止に関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(IT・受託開発・10業務)
- 「外注先への発注と検収」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
11手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- どんな場合に取適法の対象になりますか。
- 取引の内容(製造委託・情報成果物作成委託・役務提供委託など)と、発注する側・受ける側の資本金または従業員数の組み合わせで決まります。2026年1月から従業員数の基準も加わりました。
- フリーランスへの発注で気をつけることは。
- 従業員を使わない個人に発注する場合、フリーランス・事業者間取引適正化等法で、取引条件の明示や60日以内の支払が求められます。取適法の対象にもなる場合は、両方を満たすようにします。
- 検収で不合格にしたら支払わなくてよいですか。
- 発注時に決めた基準に合わない場合は、やり直しを求められます。外注先の責任でない理由で受け取りを拒んだり、代金を減らしたりすることは禁止されています。