本番リリースの業務手順書テンプレート(受託開発・情報システム)
テストを終えたシステムを本番環境に反映し、動作を確かめて利用者に案内するまでの流れです。手順書にすると、バックアップの取り忘れや、問題が出たときに切り戻せない事態を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- リリース作業を、事前に決めた手順と判断基準どおりに、誰が行っても同じように進められるようにします。
- 範囲
- リリース判定会議から、本番反映、動作確認、利用者への完了連絡までです。
- 始まるきっかけ
- テストの完了判定を終え、リリースの日程が決まったとき
- 頻度・量の目安
- 案件ごと・月1〜4回
- 使う書類・システム
- テスト完了報告書、リリース作業計画書(手順・時刻・担当)、切り戻し手順書、利用者向けの案内文
担当と役割
リリース責任者(PM)
リリース判定、作業の開始と切り戻しの判断
作業担当(インフラ・開発)
バックアップ、本番反映、動作確認
発注者の情報システム担当
利用者への連絡、業務での確認
手順(13ステップ)
- 判定リリース責任者・目安 1時間
1. リリース判定会議を行う
テストの結果、未解決の不具合、作業計画、切り戻し手順、利用者への連絡の準備を確かめます。
- 確かめること
- 判定の基準(重要度の高い不具合0件など)を満たさなければ延期する。
- できあがるもの
- リリース判定の記録
- 計画作業担当・目安 半日
2. 作業計画書を作る
作業ごとの開始時刻、担当、確認方法、所要時間、切り戻しの判断時刻を書きます。
- 確かめること
- 切り戻しの判断時刻(この時刻までに確認が終わらなければ戻す)を決める。
- できあがるもの
- 作業計画書
3. 利用者に停止の予定を知らせる
停止の日時、影響する機能、問い合わせ先を案内します。
- 確かめること
- 1週間前と前日の2回知らせる。
- できあがるもの
- 停止の案内
- リハーサル作業担当・目安 半日
4. 検証環境でリハーサルを行う
本番と同じ手順で反映と切り戻しを試し、所要時間を測ります。
- 確かめること
- 切り戻しも実際に試す。
- できあがるもの
- リハーサルの記録
- 事前確認作業担当・目安 15分
5. 反映するプログラムの版を確かめる
テストで合格した版と、反映する版が同じかを確かめます。
- 確かめること
- 版の番号や識別子を作業計画書に書いて照合する。
- できあがるもの
- 版の確認記録
6. 本番のデータとプログラムをバックアップする
データベース、設定ファイル、現行のプログラムを取得します。
- 確かめること
- バックアップから戻せることを、サイズや件数で確かめる。
- できあがるもの
- バックアップ
- 反映作業担当・目安 計画による
7. 本番環境に反映する
作業計画書の順番どおりに、プログラム・設定・データの変更を反映します。
- 確かめること
- 1手順ごとに完了時刻を記録する。手順にない作業をしない。
- できあがるもの
- 作業記録
8. 動作を確かめる
ログイン、主要な画面、外部連携、バッチの起動を、決めた確認項目で確かめます。
- 確かめること
- エラーログが出ていないか確かめる。
- できあがるもの
- 動作確認の記録
- 判断リリース責任者・目安 10分
9. リリースの完了か切り戻しかを判断する
確認の結果と時刻を見て判断します。
- 確かめること
- 判断時刻を過ぎても問題が解決しない場合は、ためらわず切り戻す。
- できあがるもの
- 判断の記録
- 業務確認発注者の情報システム担当・目安 30分
10. 業務の担当者に実際の操作で確かめてもらう
主な業務の操作を1件ずつ行ってもらいます。
- 確かめること
- 確認した担当者と時刻を記録する。
- できあがるもの
- 業務確認の記録
- 連絡発注者の情報システム担当・目安 15分
11. 利用者にリリースの完了を知らせる
変更点、使い方が変わる点、問い合わせ先を案内します。
- 確かめること
- 問い合わせの窓口を当日と翌日は厚めにする。
- できあがるもの
- 完了の案内
- 監視作業担当・目安 2時間
12. リリース後の監視を行う
翌営業日の業務開始から数時間、エラーログと問い合わせを確かめます。
- 確かめること
- 障害が出たら障害対応の手順に移る。
- できあがるもの
- 監視の記録
13. リリースの記録を残す
反映した版、作業の実績時間、発生した問題を記録します。
- 確かめること
- 次回の作業計画に反省点を反映する。
- できあがるもの
- リリース記録
締めのチェックリスト
- リリース判定の基準を満たした
- 作業計画書に切り戻しの判断時刻がある
- 利用者に1週間前と前日に知らせた
- リハーサルで切り戻しも試した
- テスト合格版と反映版が同じである
- 本番のバックアップを取り、戻せることを確かめた
- 手順ごとに完了時刻を記録した
- 主要機能とエラーログを確かめた
- 業務担当者が操作で確かめた
- リリースの記録を残した
よくあるミスと防ぎ方
テストした版と違う版を反映する
ブランチやファイルの取り違えで、テストしていない版が本番に出ます。版の識別子を作業計画書に書いて照合します。
切り戻しの判断が遅れる
「もう少しで直る」と作業を続け、業務開始に間に合わなくなります。判断時刻を事前に決め、過ぎたら戻します。
手順にない作業をその場で行う
記録のない作業は、障害の原因を追えなくします。手順にない作業はリリース責任者の判断を得て、記録してから行います。
測っておきたい指標
- リリース後に発生した障害の件数
- 切り戻しの件数
- 作業計画と実績の時間の差
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(IT・受託開発・10業務)
- 「本番リリース」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
13手順のうち4つは、自動化の候補です
よくある質問
- リリースはいつ行うのがよいですか。
- 利用者が少ない時間帯に行い、翌営業日に担当者がそろっている日を選びます。月末や締め日の直前は避けます。
- 切り戻し手順は毎回必要ですか。
- 必要です。小さな変更でも、戻せない状態で反映すると障害が長引きます。データの変更を含む場合は特に、戻す方法を事前に確かめます。
- 動作確認を自動化できますか。
- ログインや主要画面の表示、決まった操作の確認は自動化しやすい部分です。業務での確認は担当者が行います。