バックアップの確認と復元テストの業務手順書テンプレート(受託開発・情報システム)
システムとデータのバックアップが毎日取れているかを確かめ、失敗したときに対応し、定期的に実際に戻せるかを試す流れです。手順書にすると、バックアップが取れていなかった・戻せなかったという事態を防げます。
この手順書の範囲
- 目的
- バックアップの取得と復元を確かめる作業を定例化し、障害やランサムウェアの被害からデータを戻せる状態を保ちます。
- 範囲
- バックアップ対象の一覧の管理から、毎日の結果確認、四半期ごとの復元テストまでです。
- 始まるきっかけ
- 毎朝の定例確認、および四半期ごとの復元テストの日
- 頻度・量の目安
- 毎日5〜15分・四半期に1回の復元テスト
- 使う書類・システム
- バックアップ対象の一覧、バックアップソフトの結果レポート、復元手順書、保守・運用の対応記録表
担当と役割
情報システム担当
毎日の結果確認、失敗時の再取得、復元テスト
システム管理責任者
対象と保管世代の決定、復元テストの結果の確認
業務担当
復元したデータの中身の確認
手順(10ステップ)
- 対象システム管理責任者・目安 半日
1. バックアップの対象と方法を一覧にする
サーバー、データベース、ファイルサーバー、クラウドサービスのデータごとに、方法、頻度、保管世代、保管場所を決めます。
- 確かめること
- クラウドサービスのデータも、サービス側の保存だけに頼ってよいか確かめる。
- できあがるもの
- バックアップ対象の一覧
- 対象システム管理責任者・目安 1時間
2. 戻すまでの目標を決める
どの時点まで戻せればよいか(例: 前日の夜)、何時間で戻すか(例: 4時間)を決めます。
- 確かめること
- 業務担当と合意する。
- できあがるもの
- 復旧の目標
3. バックアップの結果レポートを確かめる
対象ごとに成功・失敗・警告と、取得したデータの量を確かめます。
- 確かめること
- データの量が前日より大きく減っていないか(取得漏れのおそれ)を見る。
- できあがるもの
- 確認記録
- 毎日の確認情報システム担当・目安 30分
4. 失敗したバックアップを再取得する
エラーの内容を確かめ、原因(容量不足・接続エラーなど)を取り除いて再取得します。
- 確かめること
- 2日続けて失敗した場合はシステム管理責任者に報告する。
- できあがるもの
- 再取得の記録
- 保管情報システム担当・目安 週1回・15分
5. 保管世代と保管場所を確かめる
決めた世代数が残っているか、社外または切り離した場所にコピーがあるかを確かめます。
- 確かめること
- ランサムウェア対策として、ネットワークから切り離した、または書き換えられないコピーがある。
- できあがるもの
- 保管の確認記録
6. 保存先の容量を確かめる
保存先の空き容量と、増え方の見込みを確かめます。
- 確かめること
- 空きが20%を切りそうなら、増設か世代の見直しを相談する。
- できあがるもの
- 容量の記録
- 復元テスト情報システム担当・目安 半日
7. 四半期ごとに復元テストを行う
対象を1つ選び、検証用の環境に実際に戻します。
- 確かめること
- 本番環境に上書きしない。
- できあがるもの
- 復元テストの記録
- 復元テスト業務担当・目安 30分
8. 戻したデータの中身を確かめる
最新のデータが含まれているか、ファイルが開けるか、件数が合うかを確かめます。
- 確かめること
- 確かめた項目と結果を記録する。
- できあがるもの
- 中身の確認記録
- 復元テスト情報システム担当・目安 15分
9. かかった時間を目標と比べる
復元にかかった時間を測り、決めた目標時間に収まるかを確かめます。
- 確かめること
- 収まらない場合は、方法の見直しを提案する。
- できあがるもの
- 時間の記録
10. 結果を確かめ、一覧と手順書を見直す
システムの追加・廃止を一覧に反映し、復元手順書を更新します。
- 確かめること
- 新しく入れたシステムやクラウドサービスが一覧に入っている。
- できあがるもの
- 更新済みの一覧と手順書
締めのチェックリスト
- 全システムがバックアップ対象の一覧に入っている
- 戻す時点と時間の目標を決めた
- 毎朝、結果レポートを確かめた
- 取得したデータの量の急な減少がない
- 失敗を再取得し、続く場合は報告した
- 決めた世代数が残っている
- 切り離した、または書き換えられないコピーがある
- 保存先の空き容量を確かめた
- 四半期ごとに復元テストを行った
- 業務担当が戻したデータの中身を確かめた
よくあるミスと防ぎ方
成功の表示だけを見る
対象のフォルダが変わり、実際には空のデータを取っていることがあります。データの量の変化も確かめます。
復元を一度も試していない
いざというときに手順がわからず、戻せないことがあります。四半期ごとに実際に戻し、手順書を更新します。
バックアップも暗号化される
ランサムウェアはネットワークにつながったバックアップも暗号化します。切り離した、または書き換えられないコピーを持ちます。
測っておきたい指標
- バックアップの成功率
- 失敗から再取得までの時間
- 復元テストの所要時間(目標との差)
関係する法令・規格
個人情報保護法
個人データの消失・毀損を防ぐための安全管理措置に関わります。
電子帳簿保存法
電子で保存する帳簿・書類・電子取引データを、保存期間のあいだ見られる状態で保つことに関わります。
無料ダウンロード
業務手順書テンプレート集(IT・受託開発・10業務)
- 「バックアップの確認と復元テスト」を含む10業務の手順書を、1業務1シートで書き換えられるExcel
- 手順ごとに担当・確かめること・できあがるもの・目安時間の列。自社のやり方に合わせて行を足せます
- 締めのチェックリストと改訂履歴のシートつき。A4横で印刷できます
フォームを送信すると、すぐにダウンロードできます
10手順のうち3つは、自動化の候補です
よくある質問
- クラウドサービスのデータもバックアップが必要ですか。
- サービス側の障害や誤操作による削除に備えて、契約内容を確かめたうえで、必要なデータは別に保存することを検討します。
- 毎日の確認を自動化できますか。
- 結果レポートの取得と、失敗・データ量の急な変化の通知は自動化しやすい部分です。失敗の原因の対応は人が行います。
- 保管世代は何世代が目安ですか。
- 業務で戻したい期間と、障害に気づくまでの時間で決めます。気づくのが遅れる誤削除やランサムウェアに備えて、週次・月次の世代も持つことが多いです。