作図ミスがダブルチェックで減らないのは、2人とも同じ「目で見比べる」方法で確かめていて、数値1か所だけの違いのような見落としやすい誤りに、同じように弱いからです。客先の図面とCADの作図データを、どちらも数値にしてから部位ごとに照合すると、見落としやすい違いを毎回同じ基準で拾えます。AIの照合を1人目のチェックにして、人は違いが示された箇所を確かめる形にすると、確認の手間を増やさずに漏れを減らせます。
作図ミスは、どこで起きているか
客先から届いた図面をもとに、自社のCADで作図し直し、切断や加工のデータに変換する職場では、次のような作図ミスがよく起きます。
- 穴径・穴の数・穴の位置の写し間違い(φ22をφ24、4穴を3穴など)
- 板厚・材質の取り違え(PL-12をPL-16など)
- 数量の計算違い(1セットあたりの員数とセット数の掛け忘れ)
- 注記の転記漏れ(開先・面取り・処理の指示)
- 寸法の数字だけを書き換え、図形の長さが合っていない
- 改訂前の図面で作図してしまう
どれも、気づくのは材料を切ったあと、加工したあと、ということが多く、作り直しと材料のむだにつながります。
ダブルチェックで減らない理由
- 同じ方法で2回見ている。作図した人も確かめる人も、2枚の図面を目で見比べます。見落としやすい箇所は、2人とも同じように見落とします。
- 違いはまれにしか無い。ほとんどの図面は合っているため、「たぶん合っている」という前提で見てしまいます。
- 見た目では分からない違いがある。寸法の数字は正しくても、図形の長さが違う、というデータの誤りは、図面を見ても分かりません。切断データには図形の長さが使われます。
- 人を増やすほど、1人の注意が下がる。確認する人を増やすと、「ほかの人も見る」という気持ちが生まれやすくなります。
数値にしてから照合する
漏れを減らすには、見比べる方法そのものを変えます。客先の図面も、作図データも、まず数値と記号のデータにしてから、同じ部位どうしで比べます。
| 確かめる項目 | 客先の図面から | 作図データから |
| 穴径・穴の数 | 「4-φ22」を、4つ・φ22に分けて読む | 円の数と直径を図形から数える |
| 穴の位置・ピッチ | 寸法の値を読む | 寸法の値と、円の中心の座標から測った長さの両方 |
| 外形・板厚・材質 | 寸法と表題欄を読む | 図形の大きさと、表題欄・属性の値 |
| 数量 | 員数とセット数を読む | 表題欄の数量、注文書の数量 |
| 注記 | 注記の文を読む | 注記のレイヤの文字 |
作図データの側は、画像ではなく、CADデータの座標と値のまま扱います。寸法の数字と図形の長さの食い違いも、この方法なら機械的に拾えます。
切断・加工データの前でも、もう一度
作図データを切断用のNC・ネスティングのデータに変換するときにも、誤りは入ります。材料を切る前に、次の点を確かめます。
- 部品の輪郭が閉じているか(すき間があると、切断データで問題になる)
- 重なった線や、長さゼロの線が無いか
- 板取りの部品の数・穴の数が、作図データ・注文書と合うか
- 圧延方向や向きの指定が守られているか
AIで照合を自動化するときの進め方
- 過去の作図ミスを集める。実際に起きた作図ミスの図面と、正しい図面の組を用意します。見逃してはいけない違いの見本になります。
- 違いのない組も用意する。違いが無いのに「違う」と出る誤検出の数も測るためです。誤検出が多いと、結局全部を見直すことになります。
- 許容差を決める。どこまでの差を「違い」とするかを、項目ごとに決めます。
- AIを1人目のチェックにする。最初はダブルチェックを残したまま、AIの照合を足します。見逃しが無いことを確かめてから、人が見る範囲を決めます。
照合の考え方は、検図をAIで自動化するにはでも詳しく解説しています。
まずはチェックシートで、項目をそろえる
AIを入れる前でも、確かめる項目と順番をそろえるだけで、漏れは減らせます。客先図面の値と作図データの値を並べて書く作図チェックシート(鋼板切断・板金)と、CADデータとしての確認項目をまとめたCAD図面の検図チェックリストを無料で配布しています。
ジンベイの図面AI
ジンベイの作図チェックは、客先のPDF・紙の図面と、自社で作図したDWG・DXF・Jw_cadなどのデータを、寸法・穴・板厚・数量・注記ごとに照合し、確かめる順に並べます。製造業の検図の検証では、客先のスキャン図面と社内で描き直した図面を照合し、差分のない図面での誤検出0件を確かめました。鋼板切断・板金加工の切断データの事前チェックや、AIによるCAD作図にも対応します。