検図で起きていること

客先から届いた図面をもとに社内の図面を描き直す職場では、描き直した図面が元の図面と合っているかの確認が、品質を守るうえで欠かせません。よくあるのは次のような状況です。

  • 違いはまれだが、数値が1か所だけ変わっているような食い違いが混ざる
  • 見落とせないので、熟練者が何人もで同じ図面を目で確かめている
  • 差分を色で示すツールを試したが、一致している所まで「違う」と出てしまい、結局すべて見直している

AIに任せられること、人が見ること

作業AI人
寸法・記号・注記の読み比べ任せられるAIが「違う」とした箇所を確かめる
計算の整合(ピッチ×個数と全長など)任せられる食い違いの理由を判断する
材料表や仕様書との整合任せられるどちらが正しいかを決める
設計の意図・安全性の判断任せない人が判断する

AIの役割は、違いを見つけて、確認する順番をつけて渡すところまでです。最終的な判断は図面の担当者が行います。

画像を重ねて比べるだけでは、拾えない理由

2枚の図面を画像として重ね、違う画素を色で示す方法は手軽です。ただし実際の検図では、次の理由で使いにくくなります。

  • スキャンの歪みや傾き。紙をスキャンした図面はわずかに傾き、線がずれます。一致している所まで「違う」と出ます。
  • 縮尺や配置の違い。描き直した図面は、元の図面と縮尺や配置が違うことがあります。
  • 表記の違い。同じ意味でも、記号や書き方が違えば画素は一致しません。逆に、意味が違っても見た目が似ていれば見逃します。

そのため、図面を部位ごとに切り出し、数値や記号を文字として読み取ってから比べる方法が向いています。全体を一度に比べず、部位ごとに読むことで、歪みや縮尺の違いに引きずられにくくなります。

見落とさない仕組みを、最初に決める

  1. 正解データを作る。実際の図面の組と、図面の担当者が差分を示した正解を用意します。スキャンの鮮明さが違う図面や、差分のない図面の組も必ず含めます。
  2. 2つの誤りを分けて測る。あるべき違いを見落とす「見逃し」と、違いのない所を「違う」とする「誤検出」を分けて数えます。誤検出が多いと全件を見直すことになり、効果が出ません。
  3. 違いに重みをつける。計算が合わない、材料表と合わないなど影響の大きい違いと、許容差の範囲かもしれない小さな違いを分け、確認の順番をつけます。
  4. 確実な所と怪しい所を分けて渡す。人は怪しい所から順に確かめるだけで済むようにします。

正解データの作り方と測り方は、生成AIのPoCで最初に作る「正解データ」で詳しく解説しています。

図面の製品と、受託開発の選び方

検図や図面の差分チェックは、図面の製品でも提供が広がっています。どちらが合うかは、図面とルールが一般的かどうかで決まります。

こんな場合合う選択肢
一般的な図面で、標準の機能で足りる。すぐに使い始めたい図面の製品
図面の書き方やチェックのルールが、会社や客先ごとに違う受託開発
手書きやスキャンの図面が多い受託開発(製品でも試す価値はある)
自社のシステムやサービスに、検図の機能を組み込みたい受託開発

どちらの場合も、貴社の図面で正解データを作り、見逃しと誤検出を測ってから決めると、導入後に「使えない」となるのを防げます。

進め方

  1. 検図の対象(図面の種類・比べる2つの図面・見たい項目)を決める
  2. 差分を示した正解と、差分のない図面の組を用意する
  3. 部位ごとに読み比べる仕組みで、見逃しと誤検出を測る
  4. 影響度の分け方と、人が見る範囲を決める
  5. 担当者の確認の流れに組み込み、本番で使う

ジンベイの図面AI

ジンベイの図面AIでは、会社ごとに違う図面とチェックのルールに合わせて、検図の仕組みを作ります。製造業の検図のPoCでは、客先のスキャン図面と社内の図面を部位ごとに読み比べ、差分のない図面での誤検出を0件にしました。まずは貴社の図面で事前検証から始められます。