社外に出せないデータと、生成AI

クラウドの生成AIは、入力したデータを社外のサーバーに送って処理します。契約で保存しない、学習に使わないと決められるサービスも増えましたが、社内の規程でそもそも社外に出せない情報を扱う職場もあります。

たとえば総務省は、2023年5月の自治体向けの事務連絡で、ChatGPTのような約款型の生成AIサービスでは、原則として機密性の高い情報を扱えないと整理しています。金融庁のAIディスカッションペーパーでも、オープンソースのLLMを社内に置いて使う金融機関や、専用線で閉じた形で使う金融機関の例が紹介されています。

一方で、どの業界でも閉域が必須というわけではありません。医療情報システムの安全管理ガイドライン第7.0版は、クラウドの活用を進める立場です。自社がどこまで外に出せるかは、業界のガイドラインと社内の規程で決まります。

ローカルLLMとは

ローカルLLMは、自社のサーバーやPCの中で動かす生成AIです。入力したデータが社外に出ないため、閉域網やインターネットにつながないPCでも使えます。そのかわり、次の制約があります。

制約中身
メモリモデルの大きさに比例して要る。NVIDIAの解説では、70億パラメータのモデルを16ビットで読み込むと、重みだけで約14GB
速さPCの性能に左右される。クラウドの大きなモデルのようにはいかない
得意なこと抽出・分類・要約のように、答えの形が決まっている作業は向く。長い文章をゼロから作る作業は、草案の水準にとどまることがある
更新インターネットにつながないので、モデルやソフトの更新を手で入れる必要がある

警察庁が閉じた環境で生成AIを試した実証でも、翻訳・文字起こし・要約は実用的な水準とされた一方、文章の生成は草案の水準、自動更新が効かず手で更新する手間がある、という結果でした。

RPAと組み合わせると、どこにAIを使うか

RPAは、決まった画面操作を繰り返す仕組みです。生成AIと組み合わせる方法は、大きく2つに分かれます。

方式中身閉域で使うときの注意
実行のたびにAIを呼ぶ毎回AIが画面や書類を見て、次の操作を判断する実行の回数だけAIが動くので、ローカルLLMでは速さと結果のばらつきが出やすい
AIで手順を作り、実行は決まった手順で動くAIは手順を覚えるときと、書類の読み取りなど一部の作業だけに使う実行の速さと結果がAIに左右されにくく、ローカルLLMでも安定する

閉域で使うなら、後者のほうが向いています。AIに任せるのは「書類から項目を抜き出す」「書類の種類を分ける」「内容を要約する」のような、答えの形が決まっている作業に絞ります。入力先のシステムへの転記や画面操作は、決まった手順で動かします。

閉域で始めるときの進め方

  1. 外に出せないデータを決める。どの書類・どのシステムの情報が社外に出せないかを、情報システム部門と決めます。ここが曖昧だと、ツールを選べません。
  2. AIに任せる作業を絞る。抽出・分類・要約のように、正解を人が確かめやすい作業から始めます。
  3. PCの性能を確かめる。ローカルLLMを動かすPCのメモリと、処理にかかる時間を、実際の書類で測ります。
  4. 人の確認を入れる。AIの読み取り結果は、入力する前に人が確かめる手順を残します。慣れてきたら、確かめる範囲を絞ります。
  5. 更新の手順を決める。モデルやソフトを、誰が、どの媒体で、どの頻度で入れるかを決めておきます。

GenWorkerでできること・できないこと

ジンベイのAIエージェント型RPA「GenWorker」は、AIエージェントが仕事を覚えて、RPAとして繰り返すデスクトップ型の業務自動化ソフトです。Windows PCにインストールして使い、サーバーは要りません。

機能インターネットにつながないPCで
決まった手順の実行・スケジュールでの無人実行動く(AIを使わない)
書類の読み取り・分類・要約動く(同梱のローカルLLMとOS標準のOCR)
ライセンスの認証オフラインで認証できる
画像のまま読む・画面が変わったときの自己修復・AIエージェントによる画面操作動かない(クラウドのAIが必要)

実行のときは覚えた手順で動くため、ローカルLLMでも速さと結果が変わりません。動かすたびのAIの費用もかかりません。推奨メモリは16GB以上です。2週間の無料体験で、実際の書類とPCで試せます。

この記事は2026年10月21日時点の公開情報をもとにした一般的な解説です。自社で外に出せる情報の範囲は、業界のガイドラインと社内の規程で確かめてください。