検証の結果

手書きで記入された帳票130枚・7,660項目を、GenOCRのオンプレミス版と海外の商用AI 4モデルに読ませ、同じ基準で採点しました。結果は次のとおりです(2026年9月10日公表)。

モデル提供元読み取れた割合読み取った内容が正しかった割合総合スコア(F1)
GenOCR オンプレミス版ジンベイ77.2%74.0%75.55
Claude Opus 5Anthropic74.8%66.7%70.50
Claude Fable 5.1Anthropic73.7%63.4%68.18
GPT6(Astra)OpenAI75.1%61.5%67.63
Gemini 3.8 FlashGoogle64.2%67.7%65.93

汎用の生成AIでも、手書き帳票の項目の64〜75%は1文字違わずに読めています。そのうえで、読み取った内容の正しさには最大12ポイント余りの差が出ました。

検証の条件

  • 帳票:手書きで記入された帳票130枚、7,660項目。請求書・見積書・申請書などを偏りなく含みます
  • 初めて見る書式:130枚は、GenOCRの学習に使っていない書式から選びました。覚えた書式を読めるかではなく、初めての帳票をどれだけ正確に読めるかを測っています
  • 採点:項目単位の完全一致です。全角・半角と空白の違いをそろえたうえで、1文字でも違えば不正解にしました。金額の桁ずれ1つ、担当者名の誤字1つも不正解です
  • 比較:5つのモデルに、同じ帳票データを同じ基準で読ませました

3つの指標の読み方

帳票の読み取り精度は、1つの数字だけでは判断できません。この検証では、性格の違う2つの割合と、それをまとめた総合スコアを使いました。

指標計算低いと起きること
読み取れた割合全7,660項目のうち、正解と完全に一致した項目の割合読み落としが多く、人が追加で入力する項目が増える
読み取った内容が正しかった割合AIが出力した項目のうち、正解と完全に一致した項目の割合もっともらしい誤りが混ざり、全項目を人が確かめる必要が出る
総合スコア(F1)上の2つの調和平均(100点満点)機械学習の分野で標準的に使われる総合指標

業務で効くのは、2つ目の「読み取った内容が正しかった割合」です。読めなかった項目は空欄として見つけられますが、間違って埋められた項目は、全件を見直さないと見つかりません。GenOCRはこの指標で、2位に6ポイント以上の差をつけました。

差がついたのは、急いで書かれた手書き

印刷された文字は、どのモデルもほぼ正しく読めました。差がついたのは手書き、それも急いで書かれた崩し字です。誤りの多くは、AIが気を利かせた結果でした。

  • 金額:読みにくい数字を、4モデルすべてが「読みやすい」数字に補正してしまいました
  • 会社名:「鳥(とり)」という珍しい表記を、空欄の地名として扱ったり、存在しない社名に置き換えたりしました

文章を要約する用途なら、こうした補正は長所です。帳票のデータ化では、書かれていない内容を作ることになり、誤りになります。GenOCRは書かれたとおりに読むことを目的に学習させているため、こうした誤りが起きにくくなっています。

精度の数字を比べるときの注意

AI-OCRの「精度◯%」は、測り方が違うと比べられません。数字を見るときは、次の3つを確かめます。

確かめること違いの例
何を1件と数えたか1文字ごとに数えるか、項目(金額・氏名など)ごとに数えるか。項目単位のほうが厳しくなる
どう採点したか完全一致か、似ていれば正解とするか
どの帳票で測ったか印刷か手書きか。学習に使った書式か、初めて見る書式か。自社の帳票か、用意された見本か

たとえばGenOCRの製品ページにある「読み取り精度99%」は、クラウド版を、異なる100フォーマットの帳票を1つの設定で読み取った導入企業で検証した結果です。この記事の検証とは、対象の版も帳票も採点方法も違います。同じ製品でも、条件によって数字は大きく変わります。

自社の帳票で精度を確かめる手順

  1. 帳票を集める。実際に処理している帳票を、書式の種類が偏らないように数十枚集めます。手書きの多い帳票は必ず含めます。
  2. 正解を作る。読み取りたい項目を決め、人が正解のデータを作ります。2人で作って突き合わせると、正解そのものの誤りを防げます。
  3. 項目単位で採点する。全角・半角と空白の違いだけそろえ、1文字でも違えば不正解にします。
  4. 2つの割合を分けて見る。読めなかった項目と、間違って埋められた項目を分けて数えます。業務で困るのは後者です。
  5. 手書きと印刷を分けて集計する。印刷部分の高い正解率に、手書き部分の誤りが埋もれないようにします。

GenOCRで試すには

クラウド版は、無料トライアルで自社の帳票を読み取って確かめられます。帳票を社外に出せない場合は、社内のサーバーで動くオンプレミス版(GPU版)と、パソコン1台で動くCPU版から選べます。この記事の検証結果は、オンプレミス版(GPU版)のものです。

Claude、GPT、Geminiおよびその他の製品名は、各社の商標または登録商標です。