図面OCRとは、図面に書かれた文字・数字・表を読み取り、データにする技術です。文書のOCRと違い、図面では文字の位置と向き、記号や線との関係に意味があるため、「文字が読めた」だけでは使える情報になりません。表題欄・部品表・注記を読むならOCRの製品で足りることが多く、記号の種類や線のつながり、ほかの書類との照合まで要るなら、個別に作るほうが合います。
図面OCRとは、図面に書かれた文字・数字・表を読み取り、台帳やシステムで使えるデータにする技術です。OCR(光学文字認識)の一種ですが、図面は文書と作りが違うため、読み方にも違いがあります。
文書のOCRと、図面の読み取りの違い
請求書や申込書のOCRは、文字が横書きで並び、項目名の近くに値がある、という前提で読みます。図面は、この前提が当てはまりません。
| 比べる点 | 文書(請求書・申込書など) | 図面 |
| 文字の並び | 行に沿って並ぶ | 図のあちこちに散らばる。縦書き・斜め・回転した文字がある |
| 値の意味の決まり方 | 項目名の近くにある値が、その項目の値 | 寸法線・引出線でつながった先の形や部品が、その値の対象 |
| 記号 | 少ない(チェック欄・印など) | 多い。公差・表面性状・溶接・配管・電気などの記号に意味がある |
| 線 | 表の罫線くらい | 形・配管・配線・寸法線など、線そのものが情報 |
| 大きさ | A4が中心 | A1・A0の大判。小さな文字が多い |
そのため、図面の「読み取り」には、文字を読むことに加えて、その文字が図のどこを指しているかを結びつける段階が要ります。
図面から読める情報、読みにくい情報
| 情報 | OCRでの読みやすさ | 理由 |
| 表題欄(図番・件名・材質・尺度・改訂) | 読みやすい | 枠の中に項目と値がまとまっている。位置が図面ごとに違っても、項目の意味で読める |
| 部品表・機器表・改訂表 | 読みやすい | 表の形をしている。罫線のかすれや結合セルには注意が要る |
| 注記・技術要求 | 読みやすい | 文章として書かれている。略記の意味は会社ごとに違う |
| 寸法・公差 | 読めるが、対象との結びつけが難しい | 数字は読めても、どの部位の寸法かは寸法線をたどらないと分からない |
| 記号(幾何公差・溶接・配管・電気など) | 読みにくい | 文字ではなく形で意味を表す。凡例が会社や年代で違う |
| 線のつながり(配管・配線) | OCRの範囲外 | 文字ではないため、線をたどる別の処理が要る |
精度に効く条件
- 元のデータの種類。CADから出力したPDFで文字が埋め込まれていれば、文字は画像から読まずにそのまま使えます。紙をスキャンした図面は、画像から読むことになります。
- 解像度。大判の図面を縮小してスキャンすると、小さな寸法や公差の数字がつぶれます。
- 文字の向き。縦書きや回転した寸法の数字は、向きを判定してから読みます。
- 手書きの追記。赤ペンや鉛筆の書き込みは、印字と分けて扱い、確認に回します。
- 会社ごとの書き方。表題欄の項目名や略記は会社や客先ごとに違います。過去の図面と、正しく読んだ結果の組が正解データになります。
製品で足りる場合と、個別に作る場合
| やりたいこと | 合う選択肢 |
| 表題欄を読んで図面台帳を作る。部品表を読んでシステムに入れる | AI-OCRの製品(図面OCR) |
| スキャン図面を文字で検索できるようにする | AI-OCRの製品(サーチャブルPDF化) |
| 記号の種類を判定する。配管や配線のつながりをたどる | 個別に作る |
| 図面と見積書・仕様書・機器表を照合する | 個別に作る(書類のOCRと組み合わせる) |
| 2枚の図面の違いを見つける(検図・差分チェック) | 個別に作る(または図面の製品) |
どちらの場合も、自社の図面で、正しく読めた割合と、読み違いの起き方を測ってから決めます。項目ごと、図面の状態ごとに分けて測ると、どこまで任せられるかが分かります。
ジンベイの図面OCRと図面AI
表題欄・部品表・寸法・注記の文字と表を読むなら、AI-OCR「ジンベイ GenOCR」の図面OCRで始められます。記号やつながりを読む、書類と照合する、自社のシステムに組み込む、といった場合は、図面AIとして会社ごとの図面に合わせて作ります。用途ごとの例は図面の読み取り・データ化、P&ID、単線結線図のページにまとめています。