VBScriptの廃止は3段階で進む
Microsoftは2023年10月にVBScriptを非推奨とし、2024年5月に段階的に廃止する計画を出しました。2026年10月時点の公式発表では、次の3段階です。
| 段階 | 時期 | Windowsでの扱い |
|---|---|---|
| フェーズ1 | 現在〜2026年か2027年 | 機能オンデマンド(FOD)として、既定で有効 |
| フェーズ2 | 2026年か2027年ごろ | 機能オンデマンドが既定で無効 |
| フェーズ3 | 未定 | 今後のWindowsから削除 |
フェーズ1のいまは、これまでと同じように動きます。フェーズ2からは、VBScriptを有効にしていないPCで、VBScriptに頼るマクロが動かないおそれが出てきます。フェーズ3の時期は決まっていません。
VBAのマクロで影響があるのは2つだけ
VBAそのものはVBScriptとは別のものです。VBScriptを使っていないマクロは、廃止の影響を受けません。Microsoftが挙げている影響は次の2つです。
- .vbs ファイルを呼び出すマクロ。フェーズ3では、VBAから .vbs を呼び出すことはサポートされなくなります。
- VBScript.RegExp を使うマクロ。正規表現で文字の形を確かめたり、置き換えたりする処理です。Officeを対応した版に上げないと動かなくなります。
VBScript.RegExp は、Officeの版で決まる
Microsoft 365 のバージョン2508(ビルド19127.20154)以降では、RegExp がVBAに最初から組み込まれています。参照設定を足さずに使え、VBScriptがなくても動きます。
| 書き方 | Office 2508以降 | Office 2508より前 |
|---|---|---|
| CreateObject("VBScript.RegExp")(実行時に作る) | 動く | VBScriptが有効なら動く。無効・削除なら動かない |
| As RegExp と型で書く(組み込みを使う) | 動く | 動かない |
| 参照設定「Microsoft VBScript Regular Expressions」を使う既存のマクロ | 動く | VBScriptが有効なら動く。無効・削除なら動かない |
社内のOfficeを2508以降にそろえるのが、いちばん手間の少ない対応です。新しく作るマクロは、組み込みの RegExp を使います。
マクロの中の探し方
- マクロの入ったブックを数える。共有フォルダで .xlsm・.xlsb・.xlam を探して一覧にします。個人のPCにあるものは、部署ごとに聞きます。
- コードを検索する。VBAの画面(Alt+F11)で、検索の対象を「カレントプロジェクト」にし、「.vbs」「cscript」「wscript」「VBScript」「RegExp」を探します。
- 参照設定を見る。ツール→参照設定に「Microsoft VBScript Regular Expressions」があれば、RegExp を使っています。
- マクロの外も見る。タスクスケジューラから .vbs でブックを開いて、マクロを動かしていることがあります。
- VBScriptを無効にして試す。Microsoftは、VBScriptを無効にした環境でマクロを動かし、隠れた依存を見つけることを勧めています。検証用のPCで行います。
棚卸しで一緒に確かめること
VBScriptを探すついでに、次も記録しておくと、置き換えの順番が決めやすくなります。
- マクロの目的と、使っている部署・人数
- 作った人の在籍(異動・退職していないか)
- 月の実行回数と1回の時間
- 操作の対象(Excelの中だけか、他のアプリやWeb画面に入力するか)
- 止まったときの影響と、中身を直せる人の数
これらを1行1本で書けるマクロ棚卸し表のテンプレートを無料で配っています。対応の優先度と期限の状況は自動で出ます。
置き換え先は、操作の対象で決める
何でも作り直す必要はありません。操作の対象ごとの目安は次のとおりです。
| 操作の対象 | 置き換え先の目安 |
|---|---|
| Excelの中だけ | Excelのまま。中身を書き残し、直せる人を2人にする |
| 他のブック・CSVの取り込み | Power Query やExcel関数 |
| ファイル操作・メール送信 | VBAのままで足りることが多い。.vbs で起動していれば起動の方法を変える |
| 他のアプリやWeb画面への入力 | RPA |
| 他システムへの転記 | 画面への入力が残るならRPA。転記そのものをなくせるなら業務システム |
| 使っていない | 廃止 |
画面への転記は、RPAの候補
SendKeys やブラウザの操作で他のシステムに入力するマクロは、画面が変わると止まりやすく、直せる人も限られがちです。こうしたマクロは、RPAに移す候補です。
ジンベイのAIエージェント型RPA「ジンベイ GenRPA」は、AIがフローを作り、画面が変わったときの直しも手伝います。実行のときはAIを呼ばず、社内のPCで動きます。Excelから基幹システムへの転記の例はExcel転記の活用例にあります。どのマクロをRPAにするかは、導入診断で分けられます。Excelの中で済むマクロまでRPAにする必要はありません。
この記事は2026年10月時点のMicrosoftの公式発表をもとにしています。時期や対応は変わることがあるため、Microsoftの最新の案内で確かめてください。Microsoft、Excel、Windows、Microsoft 365 は Microsoft グループの商標です。


