FAXで届いた注文書を読み取り、取引先マスタ・商品マスタと照合して正式なコードへ。API経由でも、基幹システムにそのまま取り込めるデータが返ります

ジンベイ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:上田英介)は、非定型帳票×手書きの読み取りに強いAI-OCRサービス「ジンベイ GenOCR」において、読み取った文字列を自社マスタと照らし合わせ、正式名称やコードを書き込む「マスタ補完機能」をリリースしたことをお知らせします。

1つのプロジェクトに最大20件のマスタを登録でき、1マスタあたり50万行まで保持できます。照合の条件には複数の項目を組み合わせて指定できます。

また、API連携で読み取った場合もマスタ補完が適用されるため、基幹システムから帳票を送るだけで、自社のコード体系に揃ったデータを受け取れます。

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背景

帳票から読み取ったデータを、そのまま基幹システムに取り込めるケースは多くありません。取引先名や商品名は書類ごとに略称・旧称・表記ゆれを含んでおり、自社マスタ上の正式名称やコードに変換して初めて登録できるためです。

当社は2026年6月、読み取り結果を類似度ベースでマスタと照合する「辞書変換(類似度)」を提供開始しました。その後、実際の運用のなかでお客様から次のようなご要望をいただいています。

  • 取引先マスタと商品マスタなど、複数のマスタを同時に参照したい

  • 品名だけでは1件に絞り込めないため、型番と組み合わせて照合したい

  • 数十万件規模のマスタをまるごと登録したい

こうした声を受け、マスタ補完を「単一項目の表記ゆれ吸収」から「自社のマスタ体系に沿ってデータを整える機能」へと拡張しました。

新機能の概要

1. 複数のマスタを登録し、読み取り項目ごとに使い分け

取引先マスタ、商品マスタ、拠点マスタなど、用途の異なるマスタをCSVから登録できます。1つのプロジェクトに20件まで、1マスタあたり50万行・20列まで保持でき、読み取り項目ごとにどのマスタを参照するかを「補完設定」で指定します。1枚の帳票の中で、取引先名は取引先マスタへ、品名は商品マスタへと、同時に別々のマスタと照合します。

用途の異なるマスタを複数登録できる。キー列と照合列をマスタごとに指定する

2. 複数項目を組み合わせた照合

「照合する列」には、読み取り結果の項目とマスタの列の組を最大3組まで指定できます。たとえば「品名×商品名」と「型番×型番」を組み合わせると、両方の一致度を総合して候補を並べるため、品名だけでは区別できない類似品の取り違えを抑えられます。補完先も複数指定でき、1回の照合で商品コードと標準単価をまとめて書き込めます。

「品名→商品名」「型番→型番」の2組で照合し、商品コードと標準単価をまとめて書き込む設定

3. 表記ゆれや軽微な誤読を吸収する一致率照合

照合の前に全角と半角、英字の大文字と小文字をそろえ、空白を取り除いたうえで、文字の並びの近さを0〜100の「一致率」で判定します。「(株)」は「株式会社」として扱い、法人格を除いた部分を重く見て採点するため、「ヨコハマ精機(株)」と「株式会社ヨコハマ精機」のような表記の違いも正式名称へ寄せられます。

4. 自動で書き込むか、候補だけ出すかを選べる

モードは「自動補完」と「候補のみ」の2種類です。「自動補完」では一致率がもっとも高い候補の値を自動で書き込み、「候補のみ」では書き込まずに候補の提示にとどめます。基準に届く候補がない場合は書き込まれないため、判断が必要なデータだけを人が確認する運用にできます。

5. 読み取り結果の画面で候補を選び直せる

補完された項目には一致率が表示され、担当者はその場で別の候補に切り替えたり、マスタを検索して任意の行を適用したり、補完を解除したりできます。修正内容は自動で保存されます。

6. API連携で読み取ったデータにも、マスタ補完が適用される

GenOCRはAPI連携に対応しており、社内のシステムやプログラムから帳票を送って読み取り結果を受け取れます。このときGenOCRは、そのプロジェクトに設定された読み取り指示・モデル・出力形式・高度な設定をそのまま使います。高度な設定には本機能も含まれるため、APIで送った帳票についても、自社マスタと照合して正式なコードまで補完された状態のデータが返ります。基幹システム側から見ると、帳票を1本のAPIに渡すだけで、自社のコード体系に揃ったデータが返ってくることになります。

活用シーン:FAXで届いた注文書を、そのまま受注データへ

受注管理の現場では、注文書がFAXやPDFで届き、担当者がその内容を見ながら基幹システムに手入力する運用が今も数多く残っています。マスタ補完を使うと、この流れを次のように変えられます。

明細行ごとに取引先コード・支払条件・商品コード・標準単価が補完される。マスタにない行は空欄のまま残る

① 受信:FAXで届いた注文書のPDFをGenOCRに取り込みます。
② 読み取り:非定型・手書きの注文書でも、取引先名・品名・型番・数量・納期を明細行ごとに抽出します。
③ 照合:取引先名は取引先マスタから正式な取引先コードと支払条件を、品名と型番は商品マスタから自社の商品コードと標準単価を書き込みます。
④ 確認:マスタと照合できなかった項目だけを画面上で確認します。担当者が目を通すのは、特注品など例外分のみです。
⑤ 連携:確定したデータをCSVまたはAPIで基幹システム・ERPへ渡します。

取引先ごとに書式も呼び名も異なる注文書を、自社のコード体系に揃えた状態で受け渡せるため、受注入力の転記作業と確認作業をまとめて削減できます。

なお、基幹システム側からAPI連携で注文書を送る構成にすれば、①から③の工程をシステム間で完結できます。返ってくるデータにはすでに取引先コードと商品コードが入っているため、受注管理システムはそのまま登録処理に進み、担当者は補完できなかった行だけを確認すれば済みます。

その他の活用シーン

マスタ補完は受注管理に限らず、「読み取った値を自社のコードに直す」場面で幅広く活用できます。

購買・調達:納品書・請求書の品目を、仕入先マスタ・品目マスタの正式値へ変換します。
物流:送り状や作業指示書の荷主名・拠点名を、拠点マスタの標準表記へ統一します。
製造:検査成績書や図面の型番を、製品マスタのコードへ紐づけます。
経理:領収書・請求書の支払先を、取引先マスタや勘定科目マスタに沿った値へ変換します。

期待される効果

基幹システムへの取り込みエラーの低減
マスタに登録された正式なコード・名称に揃えた状態で出力されるため、インポート時に弾かれるデータを減らせます。

誤登録の防止
複数項目を組み合わせて照合することで、名称の似た別商品・別取引先への誤変換を抑制します。

確認作業の絞り込み
一致率が基準に届かないデータは空欄のまま残るため、人が確認すべき行がひと目で分かります。

属人化の解消
「この取引先のこの略称は自社のあの商品」という担当者の暗黙知を、マスタと補完設定として共有できます。

基幹システムとの一気通貫
API連携で読み取ったデータにもマスタ補完が適用されるため、読み取り・照合・コード変換をまとめてシステム間で処理できます。

ジンベイ GenOCRについて

「ジンベイ GenOCR」は、ジンベイが独自に開発した文字認識AIを搭載しているAI-OCRサービスです。従来のOCR技術では困難だった手書き文字や、非定型フォーマットのデータ化を高精度で実現しています。これまで手作業で行っていた退屈なデータ化業務を、ジンベイ GenOCRに任せることが可能です。

サービスページ:https://jinbay.co.jp/genocr

既存のOCRソリューションの課題
・手書き文字や図形・グラフの認識精度が低い。
・設定が煩雑で、使用するまでが大変。
・運用にかかる費用が高い。

「ジンベイGenOCR」で解決できること
・なぐり書きレベルの手書き文字や、図形・グラフ読み取りにも完全対応。
 読み取り精度99%(*)以上を実現。
・事前の設定がほぼ不要で、誰でも使用可能。
・最低価格月額2.5万円で利用可能。無償トライアル(クラウド版のみ)にも対応。

※読み取り精度、データ入力時間など、上記数値については当社内での検証結果に基づく