三菱ケミカルリサーチは、化学物質や製品の安全性を評価する「製品安全評価」と、技術・特許・市場に関する高度な調査・分析を行う「情報分析」を事業の柱とする、三菱ケミカルグループの調査・コンサルティング会社です。製品安全評価部門では、GLP試験に伴い発生する分析機器の出力データや手書きの記録用紙など、膨大な量の紙資料を扱っています。これらの記録の読み取りツールとして、GenOCRを使用しています。

今回は、実際にGenOCRの選定・導入に携わられた、製品安全評価部門 ビジネスサポート部門 製安企画管理グループ グループリーダー 小川泰弘氏にインタビューを実施。展示会で知ったときは「正直に言うと懐疑的だった」というGenOCR導入の経緯から、業務効率化の成果などについてお聞きしてみました。


1.従来のAI-OCRツールでは解決できなかった複雑なデータ読み取り


- まずはどんな業務でGenOCRをご活用頂いているのか、従来システムの課題も交えて教えていただけますか?

小川:

三菱ケミカルリサーチ 製品安全評価部門では、化学物質の安全性を評価するGLP(※)適合試験を実施しています。GLP試験では、データの信頼性を確保するため、試験中に取得した記録や測定結果は適切に電子記録または紙記録として保存・管理されます。一方で、紙に記録したデータや測定結果は報告書作成の際にExcelに転記して表にする作業が発生することがあります。

特に測定数が多い分析の場合は140枚もの測定結果が出力され、1枚の結果につき9つの読み取り箇所、合計で1,200ヶ所以上の結果(数値)をExcelに転記する、という具合です。

そこで三菱ケミカルリサーチでは、高精度のAI-OCRを強みとするソリューションを活用して、測定結果の読み取りを検討していましたが、出力される帳票のフォーマットは分析装置によっても違いますし、読み取りたい数値は測定結果によって位置が異なります。つまり読み取りたい値は決まった位置に表示されないのです。それに対して過去に検討したAI-OCRソリューションは、予め設定しておいた場所だけを読み取る、という仕様だったんです。

そうなると、測定結果として出てくる可能性のあるパターンを予め網羅して設定しておく必要がありますが、決まった場所に読み取りたい値が表示されないのでお手上げ状態でした。

※GLP(Good Laboratory Practice:優良試験所基準)制度
OECD-GLP原則(1981年制定、1997年改訂)に基づき、安全性試験を実施する試験施設ごとに、運営管理、試験設備、試験計画、内部監査体制、信頼性保証体制等に関するGLP基準への適合性を確認し、試験成績の信頼性を確保するものです。※出典:経済産業省「GLP制度」(https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/information/glp.html

2.はじめは懐疑的な印象も、デモで感じた「圧倒的使いやすさ」


- 展示会をきっかけにGenOCRを知って頂いたと思いますが、最初の感想はいかがでしたか?

小川:

一番最初に話を聞いた時は、正直なところ懐疑的でした。と言うのも、検討していたシステムも「高精度AI」が強みではあったので、「今以上のOCRツールは無いだろう。しかも決まった位置に表示されないのだから・・・」と、あまり期待していなかったんですよね。

ですが、後日改めてジンベイから連絡をいただき、せっかくだしテストしてみよう、ぐらいの気持ちでGenOCRのデモをお願いしました。

結果は言うまでもなく、本当に驚きましたね。細かい設定は一切不要でプロンプトを入力するだけで、指示に合った値を読み取り、しかも読み取り精度も良く、「こんな便利なツールがあるのか!」と感心してしまいました。その後他のツールとも比較検討したのですが、私としてはGenOCRにしよう!と一発で決まったようなものでしたね。

- 小川様が特に驚かれたポイントを具体的に教えていただけますか?

小川:

一番驚いたのは、読み取りたい値の特徴を指示するだけで、高い精度で読み取れたことです。他に検討していたOCRは帳票毎に読み取る箇所を全て設定する必要があり、とても大変だと感じていましたがGenOCRはそれらの設定なしで読み取ることができました。

また他のツールは画面がかなり複雑だと感じていて、これを現場の社員たちに「明日から使ってね」と渡しても、おそらく使いこなすのが難しくて浸透しないだろうなと感じたんです。それに比べてGenOCRは、マニュアルなしでも直感的に操作できるほど、画面周りの使いやすさが圧倒的でした。実際に、他の社員への使い方のレクチャーも10分程度で済みましたし、皆その場ですぐ覚えてくれました。

どんなに便利なツールでも、使ってもらえなければそもそも導入する意味がありません。この「悩まずに使える操作性」は、導入する側としては大きな決定打でしたね。

3.プロンプトの書き方一つで作業時間を約10分の1にまで削減


- 喜んでいただけて大変嬉しく思います。導入以降、改めて現場での使用感はいかがですか?

小川:

プロンプト次第で出力結果を自由に変えられる柔軟性の高さに、改めて魅力を感じています。

当初、私は読み取り精度の高さばかりに目がいってしまい、出力結果が吐き出されたExcelでの「並び替え」や、最大値・最小値・平均値などの「関数を使った計算」は、結局人の手でやる必要があると思い込んでいました。ただ、それでは従来のシステムと同じで、根本的な業務効率化には課題を残してしまいます。

そこでジンベイに「報告書にまとめやすいように、予め計算や配置を済ませた状態で出力することはできますか?」と相談してみました。すると「できますよ!」と、すぐにプロンプトの書き方のアドバイスをくれたんです。おかげで今では出力された瞬間にそのまま報告書に使える値の状態で出てくるようになり、手作業での計算や加工の手間を無くすことができました。

また、GenOCRによる業務効率化の度合いについても具体的に効果を確認できています。分析結果のグラフの読み取り作業であれば、これまで1週間ほどの期間で合計十数時間を費やしていた作業が、今では確認も含めてわずか1〜2時間で終わるようになったんです。約10分の1にまで作業時間を減らすことができたことで、工数としての負担軽減はもちろんのこと、精神的な意味でも本当に楽になりました。

これだけの圧倒的な効果を、プロンプトの書き方によって実現できる柔軟性の高さ。GenOCRは非常にユーザーフレンドリーで、使い勝手の良さは期待以上です。現場からも、一度レクチャーした後は使い方に関する問い合わせは一切ありません。

4.低コストでも叶えられる「業務の理想形」


- お役立ていただけて何よりです。ちなみに今後については、他の業務にも展開していきたいなどのお考えはありますか?

小川:

今では各部署に担当者を置いており、それぞれの現場ごとに自分たちで「これも自動化できるんじゃないか?」と考えて活用の幅を広げています。ふと気づいたら、「社内のGenOCRプロジェクトがいつの間にか増えている」という状況は、導入担当冥利につきると感じますね。わざわざお金をかけて巨大なシステムを作らずとも、理想の業務の形を自分たちで作っていける。そんな手応えを日々感じています。

GenOCRをより一層活用していくために、さらに期待したいことを挙げるとしたら、「Excelテンプレートへの直接出力ができるようになること」ですね。

お伝えしたとおり、現在でも十分に効率化を図れてはいるんですが、「GenOCRが出力したデータを手作業で指定のExcelシートへ貼り付ける」という後続作業だけが残っており、現場からは「ここも自動化できたら最高なのに」という声もあります。指定した範囲に直接データを流し込めるようになり、手作業が完全にゼロになるのが理想です。ぜひ次のステップとして期待したいですね。

- 今回のご経験を踏まえて、今まさにOCRツールの導入を考えている企業の担当者の方に「比較検討時の注意点」や「導入前に知っておくべきポイント」などのアドバイスがあれば教えてください。

小川:

OCRツールを選定する際は、自社で扱う帳票の種類や業務内容を踏まえて比較することが重要だと思います。特に、帳票の種類が多い場合やレイアウトが頻繁に変わる場合、あとは毎回、決まった位置に値が示されない場合は、出力テンプレート作成の負荷が少ない生成AI型のOCRが適していると感じました。

一方で、生成AI型のOCRを活用する上で一番難しいと感じるのは、やはり「プロンプトの書き方」ではないかと思います。どれだけツールが優秀でも、現場で適切にプロンプトを書けなければ上手く活用できず、結局定着しないで終わってしまうと思うんです。

その視点から考えると、ソリューション選びの際に「ベンダー側のサポートの手厚さ」は外せないポイントになると思います。ジンベイは本当にレスポンスが早くて、何か困ったことを相談すればすぐに返答をくれる。そのおかげで、導入から実務で使い始めるまでのスピードがとても早かったんです。ツールの使い勝手の良さは言わずもがなですが、このサポートの早さと丁寧さもジンベイの大きな強みだと思いますね。

プロンプトを自由自在に使いこなす、という点では私たちはまだまだ手探りの状態ではありますが、「どんなことでも相談してください!」というジンベイの手厚いサポート体制が後ろ盾にあるので、とても心強いです。私たちが慣れるまでは伴走してもらいながら運用を育てていけるので、これからもっと活用していけるはず、とすごく楽しみにしています。


小川様、ありがとうございました。これからも益々ご活用いただけるよう、ともに業務の問題を解決していくパートナーとしてサポートさせていただきます。

(インタビュー:2026年5月14日)