企業間取引の「調達」というニッチで非効率な分野に挑む、株式会社Leaner Technologies。営業・新規事業を担う山下翔平氏に、調達業務の変革における生成AIの可能性、そしてジンベイとの共創について伺いました。本記事では、インタビューの内容を要約してご紹介します。■調達SaaSで挑む“見えない世界”の可視化―まず、山下さんの役割について教えてください。山下リーナーで大手企業向け営業と新規事業開発を担当しています。特に、生成AIを取り入れた新サービスの開発に取り組んでおり、その中でジンベイさんと共創しています。―リーナーの事業についても教えてください。山下私たちは、企業の調達・購買の課題に向き合うSaaSを提供しています。調達の現場は、価格も相場も見えづらく、属人的で非効率。それを“科学”し、データで可視化・最適化することを目指しています。―調達に特化したSaaSは日本では珍しいのでは?山下そうですね。多くの企業はSAPなどのERPで調達管理をしていますが、それが「最適か」というと違う。アメリカではCoupaのようなSaaSが成長していますが、日本はまだこれから、という状況です。■調達という“未開のフロンティア”に挑む―調達SaaSの営業は難しかったのでは?山下最初はかなり苦戦しましたね。そもそも予算化されていない領域だったので、「なぜ今必要なのか」から説明する必要がありました。でも、提案が経営課題と直結するため、やりがいは大きいです。―企業からの理解も徐々に進んできた?山下「調達は利益を守る最後の砦」と捉える企業が増えています。特に原材料費の高騰が続く今、少しでもコストを抑えられる手段として、注目が集まっています。―将来的にどんな世界を描いていますか?山下1~2%のコスト改善でも、製造業の利益率は大きく変わります。私たちは、日本企業の競争力そのものを底上げするインフラになりたいと思っています。上田(ジンベイ)「調達を科学する」というコンセプトは、ジンベイの方向性とも近く、非常に共感しています。■生成AIとの出会いと可能性の広がり―生成AIについて、どのように捉えていますか?山下とにかくスピード感がすごいですよね。数年前までPoC止まりだったAIが、今や実務に耐えるレベルで動き出している。大企業でも、現場主導で生成AIを活用しようという動きが加速しています。上田これまでのAIと違って、生成AIは「一部の業務をまるごと置き換える」レベルに来ていますよね。業務の構造自体が変わる過渡期だと感じます。山下おっしゃる通りで、業務マニュアルがなくても、過去のナレッジをもとにAIが判断できる世界が見え始めている。その意味で、調達という属人的な領域と相性がいいと感じました。■ジンベイとの共創で見えた、新しい調達支援の形―ジンベイとの共創のきっかけを教えてください。山下「生成AIで調達業務をどう変えられるか」という構想があり、ゼロから相談させてもらいました。技術的な壁が多く、自社だけでは難しかったですが、ジンベイさんの伴走でプロトタイプまで短期間で構築できました。―お客様の反応はどうでしたか?山下既存のSaaSでは対応しきれなかった、「過去の文脈を踏まえた判断」や「人による捉え方の違い」にもAIで対応できるようになり、驚かれました。これはまさに生成AIの強みだと感じました。上田非構造データを扱うAIの強みを活かせた好例でしたね。リーナーさんの現場知見があったからこそ、最適なプロンプト設計やユースケースが見えました。山下調達には見積書や契約書、過去のメールなど、文書情報が山ほどあります。AIがそれらを横断的に理解・活用できるのは、まさに“今までできなかったこと”です。■今後の展望:SaaS×AIの先にある調達の未来―今後の構想は?山下SaaSだけでは解決できない領域にAIを組み合わせることで、新しい価値を届けたいと考えています。すでに着手しているものもあるので、引き続きジンベイさんと形にしていきたいです。上田生成AIは、単なる効率化ではなく「知識を継承する装置」にもなり得ます。調達の現場で、今後ますます価値を発揮できるはずです。山下調達部門も、人材の退職とともにノウハウが失われつつある。その知見をAIで引き継げる世界が、すぐそこまで来ていると感じています。(インタビュー:2025年8月4日)[CLIENT]株式会社Leaner Technologies:https://leaner.co.jp「調達のスタンダードを刷新し続ける」をミッションに、ソーシングの高度化を実現するソーシングDXクラウド「リーナー見積」、購買プロセスを一元管理する購買プラットフォーム「リーナー購買」を提供しています。企業の調達部における過去のデータや取引先・社内関係者とのコミュニケーションなど、業務プロセスをデジタル化し、蓄積されたデータの活用を促進することで、調達部門の生産性と企業の利益率向上を実現するサービスを提供します。